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現在、東京・恵比寿の日仏会館にて「パリ・コミューン150年 大佛次郎記念館カリカチュアコレクション」展を開催中です。
メディアに関連した選りすぐりの40点と、その他書籍など関連資料約10点を出張展示しています。 まず、最初に目に飛び込んでくるのは、こちらの大きなポスター。 パリ・コミューンの理念が、ここに高らかに掲げられています。 そもそも、パリの民衆がうちたてた自治政府、パリ・コミューンって どのような経緯から成立したのでしょう?ちょっぴり歴史をのぞいてみましょう。 一番下が、七月王政の国王、ルイ・フィリップ。 ミュージカルや映画でも有名なヴィクトル・ユゴー原作の『レ・ミゼラブル』に出てくる バリケードの戦闘シーンは、この時代におこった「6月暴動」なんだそうです。 その上には、二月革命で成立した第二共和政をクーデターで終わらせ、 その後第二帝政を敷いたナポレオン三世。 さらにその上、小さめに描かれているのが、 普仏戦争でナポレオン三世が失脚した後、 国防政府でプロイセンとの交渉役をつとめ、 その後、パリ・コミューンを徹底的に武力弾圧することになるティエール。 そして一番上に赤い衣を着た女性の姿で描かれているのが、パリ・コミューンの象徴です。 大きな赤い旗をひるがえしています。 今回ご紹介している版画類は、 批判のためのグロテスクな誇張や皮肉といった諷刺の意味合いが強くない、 こうした寓意画(パリ・コミューンを女性の姿であらわすなど)も含めて、 「カリカチュア」と呼んでいます。 ******* 普仏戦争が始まって間もなく、ナポレオン三世はスダンの戦いで降伏し、 捕虜となってしまいます。 その知らせが伝わると、パリでは帝政に対する蜂起がおこり、 トロシュ将軍を首班とする臨時国防政府が発足、共和政が宣言されます。 国防政府は、プロイセン軍に徹底抗戦の姿勢を示しますが、 パリは9月半ばプロイセン軍に包囲され、 それから4カ月以上にわたる包囲戦を強いられます。 これは、そんな普仏戦争当時の危機感が伝わるカリカチュアです。 フランスが葡萄にたとえられ、 プロイセンの魔手が、リヨンにも届きそうな気配で迫っています。 スペイン、ロシア、イギリスなど、各国事情も書き込まれています。 包囲によって食料や燃料の補給が途絶えたパリでは、 市民は深刻な食糧不足におそわれました。 パリ市民には徹底抗戦をさけび、忍耐を呼びかけながら、 国防政府は<秘密裏にプロイセンと休戦交渉をおこない、 1871年1月28日、アルザス・ロレーヌの割譲と、50億金フランという莫大な賠償金、 そしてプロイセン軍のパリ入城という過酷で屈辱的な条件で、停戦を受け入れることになります。 これは多くのパリ市民にとって「裏切り」と映りました。 これに加え、パリの市民生活を直撃する、挑発ともとれる政策の数々が、 パリ民衆とティエール率いるヴェルサイユ政府との緊張をますます高めていきます。 パリはパリ市議会(コミューン)選挙を断行し、 1871年3月28日、市庁舎前広場でパリ・コミューンを宣言しました。 そして、これを認めないヴェルサイユ政府との対決姿勢は決定的なものになりました。 デュパンダン「1871年コミューンの防衛」 民衆のエネルギーによって成立した自治政権は72日間存続します。 しかし、パリ・コミューンは、ティエール率いるヴェルサイユ政府軍の攻撃によって、 悲劇的な最後を迎えることとなります。 展覧会では、複数の視点から描かれたカリカチュアから、 歴史の大きな流れを感じ取っていただければ幸いです。 (その②につづく) ◆展覧会情報◆ 【場 所】 日仏会館(東京都渋谷区恵比寿3-9-25) 【展覧会期】11月14日(水)~11月24日(水)まで、お休みなしで開催しています。 【開廊時間】12時~17時30分(最終入室17時) 【料 金】 入場無料
by ojmm
| 2021-11-19 09:01
| イベント
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大佛次郎記念館のご案内
【開館時間】
4-9月 10:00~17:30 (入館は17:00まで) 10-3月 10:00~17:00 (入館は16:30まで) 【観覧料】 大人 200円 中学生以下 無料 ※20名様以上の団体料金 大人 150円 ※毎月23日(市民読書の日)と、第2・第4土曜日は高校生以下無料 ※横浜市在住の65歳以上の方 100円(濱ともカード等をご提示ください) ※障がい者手帳をお持ちの方とお付添の方1名 無料 《団体入館のご予約》 予定日時、人数、説明希望有無をご連絡ください。 ご希望の団体には、入館時に大佛次郎と当館についてご案内いたします。 【休館日】 毎週月曜日(祝休日の場合は翌平日) ※展示替等で臨時に休館することがあります。 大佛次郎記念館ホームページはこちら 所蔵資料のご案内はこちら 大佛次郎記念館 〒231-0862 横浜市中区山手町113 TEL 045-622-5002 FAX 045-622-5071 以前の記事
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